ルボックスの副作用症状を知っておこう

 

ルボックスはSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)のひとつであり、抗うつ剤として使用されています。服用期間が長期にわたることも多く、なかには副作用について不安を感じる人もいるでしょう。

 

ここからは、ルボックスを服用するうえで気がかりな

 

  1. 副作用にはどんな症状がある?
  2. 離脱症状がでるか?

 

この2つの疑問について説明します。

 

 

ルボックスの副作用確率・頻度

 

医薬品を服用するまえに、まず確認しておきたいのが添付文書です。ルボックスの添付文書では、副作用リスクについて、具体的なデータが記載されています。これは、信頼性の高い情報であり、700件以上の症例をもとに算出されています。

 

病例 副作用発生確率
うつ病、うつ状態・パニック障害

43.0%(712例中306例)

参考ページ:ルボックス添付文書

 

↑はルボックスの副作用について表にまとめたものです。副作用がでる確率はおよそ45%となり、ルボックスを服用して副作用がでる人は2人中1人ということになります。とはいえ、特別にルボックスが高確率というわけでもありません。そもそもSSRIの副作用は、40~70%といわれています。したがって、SSRIに分類される医薬品は、副作用が強めだと考えてよいでしょう。

 

また、副作用には個人差があるため、人によっては症状が強くでたり、気づかないほど軽いものもあります。副作用がでたとしても、ルボックスによって症状が改善にむかっているなら、多少の副作用はガマンするというケースもあります。服用を継続するかどうかの判断は、効果と副作用のバランスにもよりますが、大切なことは事前に副作用の知識を身につけておくことです。知識があれば、対策をとりやすくなるからです。

 

精神・神経症状【眠気・頭痛・めまいなど】

 

ルボックスの副作用には、精神・神経系にかんする症状が多くみられます。

 

5%以上 0.1~5%未満 0.1%未満
眠気(9.7%) めまい・ふらつき・立ちくらみ,振戦・アカシジア様症状・顎の不随意運動・開口障害・頬筋の痙攣等の錐体外路障害,頭痛,不眠,頭がボーっとする,集中力低下,あくび,抑うつ感,焦燥感,不安感,躁転,気分高揚,言語障害,しびれ,異常感覚・冷感,性欲障害 ぼんやり,記憶減退,動作緩慢,圧迫感,神経過敏,舌麻痺,運動失調,知覚異常

頻度不明:激越

 

よくある神経系の症状には

 

  1. 眠気がでる(9.7%)%
  2. 浮動性めまいがおこる
  3. 頭痛がする

 

↑があげられます。なかでも眠気がもっとも多く、10人中1人といちばん高確率であらわれる服用となります。

 

なぜルボックスには精神系の副作用が多いのでしょうか。その理由は、ルボックスが作用するしくみから読み解くことができます。SSRIのひとつであるルボックスには、脳内のセロトニンを増やすという効果があります。

 

セロトニン 眠気の調節や食欲・性欲を抑える働きがある

 

↑はおもなセロトニンのはたらきです。ルボックスが効果的に作用すると、脳内のセロトニンは順調に増えていきます。しかし、なかにはセロトニン量のバランスをくずしてしまう人もいるのです。その結果、あくびが続いたり強い眠気がでたり、頭がぼーっとしたり不安を感じたりといったさまざまな症状がでてくるのです。なかには、性欲が減退するという人もいたり、さまざまな方面に影響があらわれます。

 

いっぽう、イライラするなど攻撃性が高まったり、不眠の症状がでることもあります。眠気と不眠は真逆な症状のようにもみえますが、いずれもセロトニンのバランスが崩れたことによっておこるため、どちらも副作用としてありうるのです。

 

また、ひんぱんに悪夢をみるようになったり、歯ぎしりや寝汗といった症状に悩まされることもあります。このように、眠っている間にも症状がでてしまうと、早朝覚醒につながることもあります。したがって、ルボックスによって質のよい睡眠が得られるとは考えにくいでしょう。

 

ふらつきやめまいは、抗うつ剤や抗不安剤を服用したときによくでる副作用です。ルボックスでもおなじような症状がでることがあるため、転倒しないよう注意が必要です。また、しびれによって、むずむずやピリピリした感覚もでることもあり、さまざまな副作用について知識を持っておくことが大切です。

 

もし副作用がでてしまった場合は、ほかの医薬品に変えたり、ルボックスの量を減らすなどの対策をとることになります。おなじSSRIでも、副作用がでにくいものがあるため、切り替えて様子を見るのもよいでしょう。どんな対策をとるにしろ、あらかじめ医師に相談することが重要です。

 

消化器症状【口・喉が渇く、吐き気、下痢など】

 

ルボックスには消化器系の副作用もあります。精神系症状とおなじくよくある症状です。

 

5%以上 0.1~5%未満 0.1%未満
嘔気(吐き気)・悪心(11.8%) 口渇,便秘,嘔吐,下痢,腹痛,腹部膨満感,食欲不振,消化不良 空腹感,口腔内粘膜腫脹

 

いちばん多くでやすいのが「悪心、吐き気」の11.8%で、胃がムカムカして気分が悪いといった症状があります。その他の消化器系症状として、吐き気や口の渇き、便秘や下痢、食欲減退などのも確率としては高めです。

 

消化器系症状の副作用がでる場合も、原因は「セロトニンの増加」だといわれています。ルボックスには脳内のセロトニンを増やす作用がありますが、セロトニンの受容体は脳内だけではなく体中に存在しているのです。なかでもセロトニン受容体が多く集まっているのが消化器であるため、消化器系の症状がでやすいのです。そのため、増加したセロトニンが受容体に刺激をあたえると、吐き気などの症状がでやすくなります。くさいおならがでる場合も、副作用が原因だったというケースもあります。

 

一般的には、食欲減退の症状によって体重が減少する場合が多いといえます。しかし、なかには食欲が増してしまう人もいて、過食や体重が増加してしまう人もいます。

 

このような食欲増加への対策は二通りあります。ひとつめは、「とりあえずガマンする」というとてもシンプルな方法です。セロトニンが増加することに体は次第に慣れるため、一定期間を過ぎると消化器系の症状はほぼおさまると考えられるからです。なお、1~2週間経過したあとに消化器系の症状が弱まる確率は約90%です。つまり、ガマンするということは意外と効果的な方法だといえます。

 

ふたつめは、「胃腸薬を服用する」ことです。ルボックスには、副作用として消化器系の症状がおおいことはよく知られているため、ルボックスと胃腸薬を同時に処方されることも少なくありません。

 

薬品名 種別 備考

ガスモチン

消化管の運動活発化

胃腸を活発にして消化器症状を軽減する

ガスター

H2ブロッカー

胃酸分泌に関わる「H2受容体」の働きを阻害して、胃酸の分泌量を減少

 

↑の2つは処方されやすい医薬品となります。

 

胃腸薬は吐き気がでてから服用するのも間違いではありません。しかし、あらかじめ服用しておくというのも有効な対策となります。事前服用によって、副作用が弱まるケースも多いため、とくに胃腸の弱い人におすすめの方法です。ルボックスと一緒に胃腸薬を処方してもらうか、市販薬を利用してもよいでしょう。

 

ただし、消化器系症状が1~2週間を過ぎてもつづくのであれば問題です。そんなときは、ほかの医薬品への切り替えを考えたほうがよいでしょう。SSRIには消化器系の副作用がでやすいという特徴がありますが、ものによっては副作用がおさまることもあるのです。

 

身体的症状【倦怠感・疲労感など】

 

ほかにも、肩こりや倦怠感、疲労感など、全身にあらわれる症状があります。

 

5%以上 0.1~5%未満 0.1%未満
- 倦怠感,脱力感,胸痛,熱感,ほてり,発汗 上肢の虚脱,息切れ,灼熱感、関節痛,筋肉痛,浮腫,発熱

 

ルボックスによってセロトニンが増加すると、全身にさまざまな症状がでることがあります。セロトニンを増やすことで精神バランスを保つことができます。しかし、過剰に増加することにより、だる
さや疲労感を覚えることもあります。セロトニン量の調節がうまくいかないと、身体がほてったり、寒気を感じるなど、さまざまな違和感を感じることもあります。

 

眠気とだるさ、この2つの症状が重なると、丸1日寝て過ごすというケースも考えられます。そこまで強い症状がでるなら、ルボックスと相性が悪いのかもしれません。念のため、医師に相談しておくと安心です。

 

筋肉周辺の症状として、肩こりや筋肉痛、身体がこわばるといった症状がでることもあります。そんなときに運動すると、ケガをおこしやすいため気をつけましょう。

 

肝臓の症状【肝機能障害など】

 

医薬品を服用するうえで肝臓へのリスクはさけられない問題ですが、ルボックスも例外ではありません。

 

5%以上 0.1~5%未満 0.1%未満
- AST(GOT),ALT(GPT),γ-GTP,LDH,Al-P上昇等の肝機能障害 -

 

医薬品が代謝・排泄されるのは肝臓や腎臓のはたらきがあるからです。もし、肝臓や腎臓が機能しなければ、薬成分は体内から消えず困ったことになるでしょう。しかし、医薬品を代謝・排泄をすると、そのはたらきの分だけ肝臓や腎臓は負担を強いられるともいえます。

 

ルボックスでもおなじことが起こっています。肝臓が受ける負担によっては、AST(GOT)やALT(GPT)などの値が高くなるリスクがあります。これらの数値の高さは、肝臓のダメージに比例していると考えられます。とはいえ、健康な人であればそこまで心配する必要はありません。ただ、もともと数値が高かったり、肝機能障害がある場合は、慎重に服用しなければなりません。

 

なお、病院以外で肝臓の数値をチェックするのは困難です。しかし、数値に異常があれば健康診断などで指摘をうけるはずなので、服用するかは医師と相談して判断しましょう。

過敏症の症状【湿疹、蕁麻疹、かゆみなど】

 

確率はとても低いですが、ルボックスによってかゆみや発疹といった過敏症があらわれることもあります。

 

5%以上 0.1~5%未満 0.1%未満
- 発疹,瘙痒感(かゆい) 蕁麻疹,湿疹

頻度不明:光線過敏性反応

 

過敏症がでてしまうのは体質が原因だといわれています。つまり、薬にたいして体が敏感に反応してしまうのです。体質的にルボックスが合わない人にとって、体内のルボックスを異物でしかありません。その結果、免疫機能が攻撃をはじめてしまい、過敏症がおこってしまうのです。

 

過敏症や薬疹がでるリスクは、さまざまな医薬品に当てはまります。もちろん、風邪薬のような市販薬であっても、おこりうるのです。そのため、ルボックスで過敏症などの症状がでたとしても、たまたま体質にあわなかっただけだといえるでしょう。

 

ルボックスで過敏症がでる確率はほんのわずかですが、もし症状がでたなら服用をつづけることはできません。これは決まりであるため、すぐに中止しなければなりません。

 

泌尿器・性器の症状【頻尿・勃起障害・生理不順など】

 

低確率ではありますが、泌尿器や性器の副作用があらわれることもあります。

 

5%以上 0.1~5%未満 0.1%未満
- 排尿困難,排尿障害,尿蛋白陽性、勃起障害・射精障害等の性機能異常 頻尿,乏尿,BUN上昇,尿閉、月経異常(生理不順)

頻度不明:尿失禁

 

ルボックスには「抗コリン作用」という、神経伝達物質であるアセチルコリンのはたらきを阻害する作用があります。この作用は、副交感神経を弱めてしまうため、副交感神経がコントロールしている食道や口、胃や腸にくわえ、尿にも影響しています。

 

ようするに、抗コリン作用は排尿困難をひきおこすことがあり、頻尿や尿閉といった症状がでることもあるのです。

 

ルボックスによって、性機能や生殖器に問題がでることもあります。男性であれば射精障害など、女性であれば月経過多や生理不順などです。

 

尿閉などは早めに対応しなければならない症状です。すぐに医師の診察をうけて、ルボックス以外の医薬品に切り替えるなどの対策をとらなければなりません。

 

その他の副作用について

 

ここまでルボックスの代表的な副作用症状を見てきましたが、最後にその他の起こり得る副作用症状についてまとめてチェックしましょう。

 

循環器・血液症状

5%以上 0.1~5%未満 0.1%未満
- 動悸,血圧上昇、白血球減少,ヘモグロビン減少,血清鉄低下,貧血 頻脈,低血圧,起立性低血圧,徐脈、血清鉄上昇,紫斑・胃腸出血・斑状出血等の異常出血、血清カリウム上昇,血清カリウム低下,血中ナトリウム低下

頻度不明:低ナトリウム血症

 

その他症状

5%以上 0.1~5%未満 0.1%未満
- 耳鳴,CK(CPK)上昇 視調節障害,眼痛,眼圧迫感,眼がチカチカする,鼻閉,苦味,歯がカチカチする,体重増加,脱毛,乳汁漏出、浮腫,発熱,しゃっくり,味覚異常

頻度不明:高プロラクチン血症,散瞳,緑内障

 

まず留意したいのが「血液・循環器系」の症状になります。動悸や血圧上昇、貧血など、体の不調に結びつく症状はもちろん、異常出血など日常生活では気づきにくい症状も含まれているので、「血液系の症状が出ることもある」ということは知っておきましょう。

 

また、低確率ではありますが、血中の電解質(カリウム、ナトリウム)の上昇・低下が起こる可能性もあります。重症化すると「低ナトリウム血症」となり、疲労感や虚脱感、重症かすると痙攣や昏睡といったことにもなりかねないので注意が必要です。

 

その他の症状としては、目が痛くなる、耳鳴りがする、味覚異常が出るなど、五感に関係する症状が目立ちます。確率自体は低いですが、もし現れたときはルボックスの影響をまずは疑いましょう。

 

重大な副作用について

 

ルボックスの服用によって、極めてまれですが「重大な副作用」が現れることがあります。

 

  1. 痙攣,せん妄,錯乱,幻覚,妄想
  2.  

    痙攣やせん妄、錯乱といった状態になることがあります。

     

  3. 意識障害
  4.  

    意識が薄れたり、なくなったりといった状態になることがあります。

     

  5. セロトニン症候群
  6.  

    体内のセロトニン濃度が過剰に高まることで、自律神経失調症状がでることがあります。興奮したり不安な状態になったり、発熱や下痢といった症状としてあらわれます。

     

  7. 抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)
  8.  

    記憶障害や幻覚、集中力低下、低ナトリウム結晶などの症状がでた場合、ルボックスは服用NGとなります。水分制限もあわせて行う必要があります。

     

  9. 悪性症候群
  10. 白血球減少,血小板減少
  11. 肝機能障害,黄疸
  12. ショック,アナフィラキシー

 

これらの症状がでた場合、すぐにルボックスの服用をやめましょう。医師と相談し、症状に合った対応が必要です。

 

依存性・耐性形成や離脱症状はどうなの?

 

ルボックスは、神経伝達物質や中枢神経に影響をあたえる医薬品です。そのような医薬品には、依存性や耐性形成という特徴が多くみられます。それらの医薬品を長期間服用すると、少しずつ効果を感じにくくなる「耐性」や、薬なしではガマンできない「依存性」があらわれやすくなるのです。

 

依存性や耐性形成が進行した人が、とつぜんルボックスの服用を中止したり、減らしたりすると、べつの問題が発生します。それは、離脱症状がおこる可能性があるということです。体内から薬成分がぬけていくとき、自律神経はバランスをくずし、さまざまな症状をひきおこします。

 

  1. めまい
  2. 耳鳴り
  3. ふらつき
  4. しびれ

 

↑はルボックスの代表的な離脱症状となります。「シャリシャリ」と聞こえる耳鳴りや手足が「ビリビリ」するという特徴を組みあわせた「シャンビリ」という呼び方をする人もいます。また、風邪のように発熱などの症状がでることもあります。

 

離脱症状は「服用中のルボックスを自己判断でやめる」ことによっておこります。ルボックスの服用によって、体調がよくなったからと安易に服用をやめてしまう人がいますが、やめることでさまざまな症状があらわれます。本気で断薬を考えているとしても、医師に相談しながらすこしずつ減らしていくべきでしょう。とはいえ、離脱症状がでるのは仕方ないと覚悟して、いっきにやめるのもひとつの手段といえるでしょう。

 

ほかの精神薬と比較してみても、ルボックスの離脱症状は平均的だといえます。パキシルとくらべても軽いとされますが、離脱症状の出かたは体質のよって差があり、強めにでてしまう人もいます。もし、断薬したいのであれば安易に服用をやめるのではなく、計画的に減薬や断薬をすすめていきましょう。

 

まとめ

 

ルボックスは一般的な鎮痛剤や風邪薬と比較すると、副作用リスクはやや高めの医薬品です。そのため、「副作用がでるかもしれない」という意識はつねに頭にいれておきましょう。もし副作用がでてしまっても、すぐに対処することでリスクを最小限にふせぐことができるからです。

 

  1. 高齢者
  2. 肝障害がある人

 

↑に該当する人がルボックスを服用する場合、じゅうぶんに注意しなければなりません。とくに効果が強めにでやすい高齢者は、副作用もでやすいからです。さらに、一説では認知症が悪化するという懸念もあるため、安易な服用は避けたほうがよいでしょう。